222. 『金融危機の本質は何か』(著: 野口悠紀雄、出版: 東洋経済新報社) [経済]

ファイナンス理論や金融工学というと、2007年夏にアメリカで顕在化したあと瞬く間に世界に波及し、いまだに尾を引いている金融危機の元凶であるかのように批判する人がいます。しかし、著者によると、金融危機は、ファイナンス理論や金融工学をまったく用いなかったか、あるいは適切に用いなかったから起きたのだそうです。

ファイナンス理論や金融工学とは、決して金儲けをするための手段ではなく、適正な市場価格を判断するための学問 (少々複雑な数式を必要とする) だそうです。「格付け」のような不完全な評価 (何を指標として結果を導きだしているのかが、著者によるときわめて不明瞭) と比べると、市場の適正価格を算出するのにはるかに役立つそうです。

著者はまた、うまい金儲けの方法などはこの世には存在しない、と言い切ります。ウォーレン・バフェット氏のように、投資した株式が当たり続けて巨万の富を築いた人もいるが、株価が永遠に上昇し続けることなどありえないのだから、それはたまたま「まぐれ」が続いたに過ぎないとか。たとえば、コインを投げて表か裏かの「偶然」(そう、「知識」でもなんらかの「実力」でもなく単なる「偶然」!) を競う賭けにすべてのアメリカ合衆国の人口 (3 億人) が参加する (負けた人は負けた時点で賭けを降りる) と仮定した場合、最後までたまたま勝ち続ける強運の 1 人は必ず生まれるわけで、バフェット氏はそのような人に過ぎないとか。だから、「金持ちになる秘訣を教えてください」などとバフェット氏にインタビューしたとしても、単にラッキーだっただけなので、求める答えを得られようはずがないそうです。


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